2005-01-01から1年間の記事一覧

「殺す・集める・読む 推理小説特殊講義」(高山宏)

「アリス狩り」で表題作(っていうのか)のホームズ論を読んで読もうと思った最初であったが、その後「僧正の積木唄」の解説で法月氏が言及していたのでようやく重い腰をあげた。ヴィクトリア朝精神の病理がヘンに自分にもあてはまりそうなのが不気味である…

「西洋音楽史」(岡田暁生)

「反音楽史」の主張について、私は懐疑的であったが、こちらの本でも似たようなことが書いてあるところを見ると妥当な見解であったようです。だいたい書きかたが悪かったんだよね。いかにもな陰謀史観で、ルサンチマンにみちていて。対してこちらの記述には…

チャンピオンの読切「24のひとみ」(倉島圭)がわりとおもしろい。シンプルでトーンをつかわない絵も好き。チャンピオンはふしぎとショートギャグが充実してますね。

サンデーで「グランドライナー」(吉田正紀)なる短期連載が開始。ストーリーがおもしろくなるとは思えないのだが、世界設定が独特なのがちょっといい。

「死の猟犬」(アガサ・クリスティー)

クリスティー文庫の一冊。早川書房は定期的にへんてこな叢書を発明しては失敗しているがいっこうに懲りないですな。 かなり変わった短篇集である。まず怪奇小説というか幻想文学というか、そんな作品がならぶ。そのあと怪奇現象がじつはトリックであったミス…

ジャンプは「銀魂」と、それについで「太臓」がおもしろかったが、どちらも(さらに「ジャガー」も)サンタネタなのでした。「ムヒョとロージー」の、あの異界の化物のアロアロことばは奇妙に魅力的である。

トヨタカップ決勝を見る。リバプールの選手交代の遅さに苛々しながら見ておりました。そしてふと思う。サッカーとはコーチのやりかたに苛立ちながら見るスポーツなのであると。私はいつもナショナルチームの試合を、現監督の采配を不満に思いつつ見ているの…

「吸血鬼ドラキュラ」(ブラム・ストーカー)

1897年の作品だが古くさいところはない。しいて言えば日記と書翰のみで構成されている形式に時代を感じるかな。恐怖小説としておもしろいというよりも、後半の裏のかきあい、頭脳戦がたのしい。 ヴァン・ヘルシング教授は思っていたイメージとはちがった。と…

ガラスのような幸福(高山宏)

雑誌やら新聞で連載した「唯物論」(これを“ただものろん”と読ませるのがまた趣味わるい)のつまらなさに、このひとの底が見えたようでもある。『絵のない本に関心が持てなかった』とあるのに、図像がすくないのも不満である。それにしてもまあ、本をたくさ…

NHKBSの「ロック誕生50年」とかいう番組を、なんとなく録画したので見る。一回目は60年代、二回目は70年代をあつかい、この最終回は80年代から現在をひとからげにしてるのだが、それでもスッカスカの不毛さがどうにもぬぐえない。これはべつに私が歳をとった…

サンデーで「地底少年チャッピー」(水口尚樹)なる新連載。第一話を読むかぎりでは話にならないが、前作もそんな感じではじまってそれなりの水準には達したのでこちらもそういう風なのかもしれない。いづれにせよ、好きな作品には絶対にならないであろう。 …

ジャンプの最後尾(正確にはその前)にいってしまった「太臓もて王サーガ」でありますが、わりとおもしろかった。苦しまぎれをやってる「ジャガー」よりマシなのではあるまいか。 読切「FALLEN」(樹崎聖)は、けんかにあけくれる主人公の素質を見ぬいたヒロ…

双葉十三郎「日本映画批判」の「お嬢さん乾杯」の項を見てみる。『シィクェンスの幕切れごとにオチをつけるというテも(略)いきいきとした展開に役立っている』。なるほど、評論家ともなるということが違いますね。でも、『一度ドアから出かかって引返し、…

「仏教の思想4 認識と超越」(服部正明、上山春平)

服部氏の文章はきわめて明瞭かつ論理的である。第二部の対談も今までで一番スイングしていた気もする。だが、それでもひたすらややこしいだけの思想に見えるのだ。こういう形而上学や認識論にノータッチだった釈尊はやっぱりえらい。思えば孔子は怪力乱神を…

「お嬢さん乾杯」(木下惠介)

木下惠介の作品も、原節子の映画もはじめて観る。 主人公がひょんなことからお嬢さまと見合いするはめになるなんてストーリーは、まんがかライトノヴェル式であるが、まんがでも筋をもうひとひねりさせるんであるまいか。などということはどうでもよく、とに…

「随筆 本が崩れる」(草森紳一)

エッセイだの随筆だのにはなるべく近寄らないようにしたいものの、本が崩れるてえのは私も他人事ではない。蔵だ書庫だなどと呼んでいるが、要は物置にすぎないシロモノに本をしまっているのだけれど、地震のあるたびに崩れてはいまいかと心配する。おそろし…

「それゆき、ジーヴス」(P・G・ウッドハウス)

全三巻であったはずの、このウッドハウス・コレクションだが続刊があるようだ。ひとをして疑念をいだかせしめるきらいなしとしない訳文ではあるが、訳出されないよりはいい。めでたいことです。 前二巻でどうだったかよく記憶してないのだけれど、バーティー…

「僧正の積木唄」(山田正紀)

中盤までイライラしながら読んだ。 解説文で法月氏も書いているように、ヴァンスも金田一も無能さにおいて甲乙つけがたい探偵である。しかるにヴァンスはぼろくそにこきおろされ、金田一は活躍するこの扱いの差はどういうことか? ヴァンスは地の文で莫迦に…

「史上最強の弟子ケンイチ(18)」(松江名俊)

あまり期待してなかったがしぐれの過去篇はおもしろかった。サンデーで読んではいたのだけれども。その後はどうかねえ。

チャンピオンで「バキ」が終了、というか第三部がすぐにはじまるようですが。刃牙と勇次郎との対決というメインストーリーから見れば、この第二部はまったくの番外篇であった。あの死刑囚たちはどうなったのか、オリバやアライ・ジュニアはなんのために出て…

「森の死神」(ブリジット・オベール)

事故にあって目もみえず、口もきけず、耳はきこえるが指一本のほかは動かせない状態の主人公がサイコキラーにねらわれるという着想はおもしろいし、そこそこ読ませる。 しかし、中途であやしみはじめ、のちに確信にいたった人物がやはり犯人であった。なにも…

「おおきく振りかぶって(5)」(ひぐちアサ)

期待もし不安視もしていたが、おもしろい。 予選一回戦の一回表にファウルフライをとっただけでしびれる。これはけっこうすごいですね。コミックス一冊分ではヴォリュームがたりないのはまあ、しかたないか。田島が打ててないのが意外だ。

サンデーで「こわしや我聞」(藤木俊)が終了。ラストバトルはあまりおもしろくなかった。クライマックスできっちり盛りあがるのもむつかしいもののようですが。そもそも、それまでがよくできたというわけでもない。國生さんがかわいかった以外に私は価値を…

「日本の歴史4 平安京」(北山茂夫)

感想を一言で申せば、こんな国には住みたくない、でしょうか。 「北斗の拳」に出てくるような悪者にはリアリティが無いと思っている。収奪する側は収奪されるほうを殺してしまってはいけないので、ひとつ村を潰滅させては別の村へとわたっていくのは焼き畑農…

「マスター・アンド・コマンダー」(ピーター・ウィアー)

海戦ものかと思って観ていれば、船員叛乱もののようにもなり、エイハブ式の話になりそうでもあり、艦長と船医の物語になり、一瞬は博物学ストーリーにもなった。そうして最後は海戦にもどるのだが、どうにもとりとめのないストーリーである。 ま、艦長がヴァ…

「おれはキャプテン(9)」(コージィ城倉)

最近の「ショーバン」は迷走しているように見えるがこちらはまずまず。ストーリー進行がやけにあっさりしているのと、カズマサの悪辣さがあらわれないのでやや物足りないか。

チャンピオンで「モテキング!」(青木健生、田中ヨシキ)が終了。なぜにホスト同士のバトルが展開されるのか。人気がいまひとつでテコ入れしようとして少年誌的な暴走をしたのですかね。ともあれ読みどころなし。

テレビかなにかのCMでエンヤの聴きなれぬ曲がながれていた。気になったのでしらべてみると、新譜が23日にでるようだ。

「テレビの黄金時代」(小林信彦)

小林さんのこの手の本が抜群におもしろいのはもう書くまでもないことだから措くとして、「日本の喜劇人」にドリフを見てそだったような人間の笑いのセンスは信用できんといった文章があった。それはないだろうと思ったことを思いだした。ここに出てくる番組…

「稗田のモノ語り 魔障ヶ岳―妖怪ハンター」(諸星大二郎)

先日の「燕見鬼」といい、これから出る文庫版の「妖怪ハンター」といい、やたらと出ますな。映画と関係があるのかないのか知りませんが、なんにせよ嬉しいことです。 あれだけへんてこなコトにかかわりあっておいて、『我々は考古学の調査に行くんで超常現象…