「森の死神」(ブリジット・オベール)

 事故にあって目もみえず、口もきけず、耳はきこえるが指一本のほかは動かせない状態の主人公がサイコキラーにねらわれるという着想はおもしろいし、そこそこ読ませる。
 しかし、中途であやしみはじめ、のちに確信にいたった人物がやはり犯人であった。なにも私の勘がするどいのではなく、ミスディレクションが弱いのである。弱いといえば主人公の頭も弱くてイライラさせられる。着想を十分に活かせなかったてえわけですね。