「テレビの黄金時代」(小林信彦)

 小林さんのこの手の本が抜群におもしろいのはもう書くまでもないことだから措くとして、「日本の喜劇人」にドリフを見てそだったような人間の笑いのセンスは信用できんといった文章があった。それはないだろうと思ったことを思いだした。ここに出てくる番組はたとえ見たいと思っても見ることはできないものがほとんどだからである。
 小林さんの本についての文章は、紹介されてる本よりも面白いと目黒考二さんがどこかに書いてあった。そうなのかもしれないが、本ならさがして読めるのである。ヴァラエティ番組はそういかないから困る。ある日曜の番組ラインナップが紹介されているが、それはもうタダナラヌ雰囲気があり、しかも見られないことも自明なのだからこの生殺し感はいったいどうしてくれようか。