「日本の歴史4 平安京」(北山茂夫)

 感想を一言で申せば、こんな国には住みたくない、でしょうか。
 「北斗の拳」に出てくるような悪者にはリアリティが無いと思っている。収奪する側は収奪されるほうを殺してしまってはいけないので、ひとつ村を潰滅させては別の村へとわたっていくのは焼き畑農業式の原始的悪者といわねばならぬ。が、奈良から平安初期にかけての政府がやってることはコレに近く、生かさず殺さずのバランスが、“生かさず”のほうにふれてしまっている。農民は逃亡し、浮浪人が増大する。
 藤原保則のように民生に力をいれるひとも突然変異的に出現するのだけれど、その努力の多くが律令制度を軌道にもどすことに費やされるのでいけない。そもそも公地公民などという土地にしばられて一生搾取されていく社会なんてディストピアに他ならず、どうあがいてもろくな社会になりっこないのであった。うんざりするので早く鎌倉時代になってほしいと思うが、鎌倉幕府の成立は七巻を待たねばならないようだ。