「屍衣の流行」(マージェリー・アリンガム)

 アリンガムは短篇をひとつ、例の乱歩のアンソロジーで読んだきりである。はじめて読んだ長篇はおもしろくなかった。あとがきで言われるような、読みかえしたとき心理描写のすごさがわかるなんてところは評価する点なのだろうか。私は本格ものを、というかたいていの小説を読みかえしたりはしない。謎が魅力的でない。“女性らしい”ということばが頻出するが、そんなことに関心はない。探偵もまた魅力的でない。アマンダがかわいいことくらいがとりえですか。