「反対進化」(エドモンド・ハミルトン)

 「キャプテン・フューチャー」は七割がた読んだし、「スター・キング」も続篇まで読んでいて、私は意外にハミルトンを読んでいる。「フェッセンデンの宇宙」はむかし本が手に入らず、ちくま文学の森で読みましたな。ちくま文学の森も思えばたいしたもんである。どの短篇も楽しく読めました。
 「アンタレスの星のもとに」、こういう話は長篇でやるものではなかろうか。この短篇集では面白くない部類の作品。
 「呪われた銀河」、膨脹宇宙からこんな話をつむぎだしてしまう。ステキだ。
 「ウリオスの復讐」、もっと歴史のつじつま合わせを盛大にやってくれれば悪くない伝奇SFになったんではなかろうか。主人公が無策で、いつも正面から飛び込んでいっては撃退されてるのがなんとも。
 「反対進化」、こんな思いつきで小説を書いちゃうのはえらいことである。が、さほどうまく料理しているとも思えず。
 「失われた火星の秘宝」、キャプテン・フューチャーものと同じ世界設定になっているらしい。なんともひどく他愛ない小説。だが、その世界設定が奇妙なほどに魅力的で、キャプテン・フューチャーの未読作品を読みたくなった。
 「審判の日」、解説を読んだら、手塚治虫石森章太郎のイメージ以外で考えられなくなった。私は猫ずきだが、ハミルトンは犬ずきである。
 「超ウラン元素」、傑作。こんなあほな発想きいたことがない。奇想をきちんとエンタテインメントにしたてあげているのが立派ですね。
 「異境の大地」、私がもっとも気に入った作品。夜と昼がめまぐるしく移っていくイメージだけでもう満足。
 「審判のあとで」、マイクロフィルム編輯作業が魅力的で、ここをもっとうまくやってくれればよかったのに。ロボットがひとり、遠い宇宙に旅立っていく物語は、いつでもロマンチックだ。
 「プロ」、「失われた火星の秘宝」の作者がこんな小説も書いてしまう。でもこれはSFではないのでは。