「暗黒神話大系シリーズ クトゥルー2」(編:大瀧啓裕)

 ダーレスの「永劫の探求」でまるまる一冊つかっている。五つのパートからなっているが、よくもまあ同じような話を五つ連ねたものである。シュリュズベリイ博士が超人すぎて、敵がちっとも怖くないのはどうにもしょうがないですな。そもそも、シュリュズベリイ博士が助っ人を呼ぶ理由がわからない。手記の書き手が必要だというストーリーの都合はわかるけど。
 おまけでリン・カーターの「クトゥルー神話の魔道書」。ラヴクラフトが虚実おりまぜて苦心してリアリティ(?)を高めようとしているのに、ロバート・ブロックあたりが思いつきで“魔道書”を創作しているのは、それこそ冒涜的でおぞましいことではないのか。
 これで二冊ですが、創元のラヴクラフト全集とちがって大瀧啓裕さんの解題がないのがさびしいなあ。