「暗黒神話大系シリーズ クトゥルー1」(編:大瀧啓裕)

 創元の文庫でラヴクラフトはひととおり読んだのでこっちも読んでみるか、と。
 わけのわからん、おぞましい存在を描くのにあたってラヴクラフトはワンパターンである(と思う)。で、後続の作家は新機軸をねらっていくわけですが、どれもラヴクラフトに匹敵していない。すくなくともこの巻においては「クトゥルーの呼び声」が圧倒的に面白いわけで、ラヴクラフトのワンパターンはじつは偉大なワンパターンなのかもと思いました。
 ところでリン・カーターが神名辞典(といっても数ページのもの)を書いているけど、アシモフの「黒後家蜘蛛の会」のマリオ・ゴンザロのモデルがカーターであると知って以来、カーターとマリオが重なってしょうがない。読んでいてもなんでマリオがこんなものを、という感覚から逃れがたいのにはまいりました。