「文字逍遥」(白川静)

 すべての漢字は神に通ず、てな印象で、どんな文字も神や呪術の用語であるとされてしまう。それは文字が神官たちのつかうものであるからなのか、それとも古代のひとがつねに神を意識していたからなのか。古代のひとが何を考えて暮らしていたのか、これっぽっちも想像できない私にはわかりません。
 が、それよりも篆文のうつくしさ、である。絵が文字になる寸前といった感じの篆文はとにかくすばらしく、それを見ているだけでうれしい。『鳥の民俗学』の鳥の金文図像がまた、よいのだなあ。