「地上から消えた動物」(ロバート・シルヴァーバーグ)

 タイトルどおり、絶滅した動物についての本ですが、恐龍などのように人間とかかわらずに絶滅したものではなく、人類がほろぼした動物がメインとなっております。そこはかとないユーモアと、人類の愚行ばかりを描いてもいたづらに憤慨したりせず淡々としているのがよろしく、たのしく読めました。できればとりあげた動物の図を載せてほしかったけど。
 印象的だったものをいくつか。ステラーの遭難とサヴァイヴァルは、もうこれだけで一冊の本になりそうな物語。リョコウバトは、のび太が飼いならしていたのを見たくらいしか知らず、かわいらしい鳥に思えたのですが、その生態はかなりとんでもないシロモノ。そして圧巻は、ほぼ独力でヨーロッパバイソンや四不像(「封神演義」で姜子牙が騎乗していた)を絶滅から救ったベドフォード公爵でありましょう。こういうひとがいたりするから貴族だとか金持ちとかもバカにならぬ。