銀河帝国は必要か? ロボットと人類の未来
 アシモフは本質的にミステリ作家だと思つてゐる。「黒後家蜘蛛の会」のやうな純然たるミステリだけでなく、SFとされる作品もミステリ的だ。たとへば「第二ファウンデーション」は第二ファウンデーションがどこに存在するのかといふ謎をめぐるミステリである、ともとれる。さういふ作家の小説群のネタを割るならばあらかじめネタばらしの警告があつてしかるべきであらう。
 それと、SF小説の意義とやらをひどく狭くとらへてゐるのが氣にかかる。その意義とやらを缺くSFはおとぎ話や寓話でしかないといふ。だが小説なんてものは讀んでたのしければそれで充分に意義があるのだ。そこには娯樂作品を低くみる態度がみてとれ、さらには昨今のエンタテインメント業界への冷遇に通底するものすら感じてしまふ。
 それらを措けばおもしろい議論が展開され、たのしく讀むことができた。

 

銀河帝国は必要か? (ちくまプリマー新書)

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