異次元の館の殺人
SF的アイディアの處理が氣にいらない。
量子論をとりこんだフィクションでは野放圖になんでもありな世界にかたむきがちである。この小説もその弊をまぬかれてをらず、どうにも承服しがたい。
これがファンタジーで魔法のはたらきでかうなつたといふならまだ納得できる。あるいはヴィデオゲーム内の話でさういふルールに規定されてるとかね。
名前が徐々にかはつてゆくなんてのは意味がわからない。さうした變容をゆるしてるのに事件の内容はゆるがないのも不審である。
まあミステリとしてはたのしめるんだけども。