ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観

 信仰をすてたために家族が崩潰したといふのがもつとも印象にのこる結果となつた。信仰をすてたといつても、代りのエデンを見つけた氣になつてゐるだけのやうにも思はれる。外部の事物に興味をもたぬはずのピダハンが銃をほしがるといふのは人間の業の深さを示してゐると私には感じられるけれど。
 印象的といへば色や數の名がないことだが、その理由を抽象化をさけるためとしてゐることに疑問をもつ。抽象化なしに言語活動も、ある程度以上に複雜な思考もできないのではないか。

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観