異世界語入門 転生したけど日本語が通じなかった
 この小説の存在を知つたのはちようど「エペペ」を讀んでゐたときで、あの言語学者のアプローチがまるで奏功しないことにフラストレーションを感じてゐた。それでコレを讀まねばならぬと決意したわけです。
 だが讀んでみると言語学的な部分よりも、異世界轉生性(?)が氣になつてしかたがない。いはゆる異世界轉生ものをほとんど讀んだことがないからか、主人公が過剩に異世界轉生性を意識してゐるのが不自然でならない。ほかの異世界轉生ものでもさうなのだらうか。たとへば西部劇が大量に生産されてゐたころの西部劇でも、自分が西部劇の主人公だと意識してゐる主人公など思ひつかないわけで、流行りにのるならば斜に構へず正々堂々とのつかればいいと思ふ。
 さらに異世界がさして現実世界とかはらぬのも氣になつてしまふ。ならばヨーロッパの架空の小國でもいいのではないか。時代的にむりがあるならすこし昔に設定すればよい。ストーリーが要求する以上のスケールのうそをつく理由がない。オッカムの剃刀みたいなものである、かな。