2023-05-04 ■ 煉獄の時 リュミエール、ルノワール、そしてシャブロル。今作のクレールときてやうやく、映畫監督の名だとわかつた。迂闊なことだ。でもあひだにハルバッハとダジールがはさまるのが解せない。 「目から鱗」の典據は「マタイ伝」なのだから、日本固有のいいまはしといふことでもないのでは。それに「失われた世界」はウェルズでなくてコナン・ドイルでせう。チャレンジャー教授がどうかうのと細々しるしてゐるのに著者名がちがふのも不審。 岡本太郎つて、バタイユと知りあひだつたの? しらべてみるとさうらしい。 ホームズものの長篇の後半のむかしばなしを讀むのはかつたるい。この小説では中間にあるが、長すぎてやはりたるい。 煉獄の時 (文春e-book) 作者:笠井 潔 文藝春秋 Amazon