脳のなかのワンダーランド

 ラマチャンドランの本とかさなる部分も多いがやはり腦のはなしはおもしろい。
 印象的だつたことのひとつは、半側無視についての文章でわれわれは皆いくぶんかは左側を無視してゐるといふ説を讀んだこと。これがほんたうならば衝撃的なことではないか?
 もうひとつは自分のからだについてゐる腕が他人の腕であると思つてしまふ症例で、その腕が自分の腕であるはづがないと確信してゐるのである。ほかのことについてはまつたく正氣なのであり、これには人間の確信のあやふやさを痛感させられる。哲學でどうしてもさうとしか考へられないこと、うたがひやうのないことを前提にしたりするが、そんなものなどあてにならないのではなからうか。

脳のなかのワンダーランド

脳のなかのワンダーランド