殴り合う貴族たち

 もとより平安貴族なぞ嫌ひであるが、こんなに野蠻で亂暴だとは知らなかつた。暴行傷害どころか略取掠奪までするのだ。だが讀んでゐるうち、たとひ集團でなぐる蹴るをしようとまづ人死にを出さないことに氣づく。なにかそれだけは避けようとしてゐるやうなのだ。それで奴らを見なほしたかといへばさうではない。さういふ荒事ですら本氣でやらず、なあなあですましてしまふ連中なのだと輕蔑するのみ。坊主にくけりや、ですかね。

殴り合う貴族たち (角川ソフィア文庫)

殴り合う貴族たち (角川ソフィア文庫)