宮崎駿「宮崎駿の雑想ノート」

 亂暴にも、宮崎駿のベストワークはマンガの「風の谷のナウシカ」であると思つてゐる。アニメーション作品をさしおいて、といふのが亂暴なのではない。「紅の豚」以降の作品を觀てもゐないのにきめつけてるのが亂暴なのである。
 でもこれを讀んで、やはり宮崎さんはマンガ家になるべきであつたと確信した。私は繪が描けないが、描けるなら宮崎さんのやうに描きたい。
 「紅の豚」の原型になつたマンガよりも、整備兵ハンスの話がおもしろい。ドイツ軍が英國を爆撃するストーリーだから映畫にはならんだらうが。
 そして私の心にいちばんのこつたのは、「自然保護の問題をどうのこうのとか、少女の自律がどうのこうのとかね、そういうのは一切ヌキ!」てことばである。これですよ。かういうふうにアニメーションもつくればいいのに。

宮崎駿の雑想ノート

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