「ドレフュス事件」(大佛次郎)

 ナポレオン三世を支持し、普仏戦争を熱狂的に推進したフランス国民は、ドレフュス事件でもブーランジェ将軍の問題でも一貫して愚劣であった。これはもちろん、衆愚政治の問題でもあろうが、そもそもフランス人がおかしいように思われてならない。なんだって、ああも共和制をつくってはこわしを繰りかえすのか? ブーランジェ将軍があのような男でなかったら、第三帝政にでもなっていたのか? 国語辞典にものってない漢語の意味をしらべるために何度か漢和辞典をひいた。むかしのひとはたくさん漢語をしってたのだなあ。