「おんみつ蜜姫」(米村圭伍)

 すばらしくおもしろい、というようなモノではないのだけれど、おっとりとした雰囲気がよろしい。山手樹一郎の読者ならわかるはず。こうしたファースを書きつづける作家がいることはなんとも貴重である。わたくしは宗春さんが好きなので、吉宗対尾張という図式はやや複雑である。新陰流でも但馬守や十兵衛(“じゅうべえ”を変換しない?)よりも兵庫助や連也斎のがひいきだしね。