夏期限定トロピカルパフェ事件
 一讀して氣分を害し、これはアンチミステリなのではないかと思つた。
 アンチミステリの明確な定義など知らぬが、推理して事件を解決することに否定的なミステリくらゐの意味で使つてをる。アンチミステリのたちがわるいのは、ミステリの皮をかぶつてゐるところだ。ひとはミステリをたのしむつもりでアンチミステリを讀んでしまふ。そしてミステリをたのしまんとするオマエはばかだとののしられる。なんて底意地のわるいたくらみだらうか。
 この小説の場合、タイトルがまたたわいのない物語であると見せかける。二重のだましうちである。