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『マルタの鷹』講義
娯樂小説をこんなふうにこまかく分析する意味がほんたうにあるのかといふ疑念をどうしても拭ひさることができない。だがそれはそれとして、たいへんたのしんで讀んだ。それは文學的な分析を娯樂のレヴェルにひきずりおろして消費したといふことになるのかもしれないが。
ハメットは「赤い収穫」「マルタの鷹」しか讀んでないがほかも讀みたくなつた。
ジョン・ヒューストンの映畫も大昔に觀たきりなのでまた觀たくなつた(とくにピーター・ローレを)。
幾度も引きあひにだされるぺリイ・メイスンものも未讀が多い。讀みたくなつた。
たくさんの本への經路をひらいてくれたこの本はやはりよい本だ。