歴代誌 下

 ユダヤ人はアホだねえ。いや、人種偏見ではない。それどころかユダヤ人はほかの民族よりもかしこいのではないかといふ偏見をもつてるくらゐだ。「士師記」や「列王記」や「歴代誌」などに共通するパターンがあり、ユダヤ人が神にそむく、そのためにひどい目にあふ、神に回歸するといふもので、これが何度も何度もくりかへされる。あとでひどい目にあふのはもうわかりきつてゐるのにまたぞろ神にそむくから、これはアホだと感じるのだ。
 まあそんなに素直に讀むことはないので邪推してみると、古代ユダヤ人は苛酷な運命にさらされた。古代のこととてどの民族もさうなのだらうが、ユダヤ人には全能なる唯一神がゐた。庇護されるユダヤ人がひどい目にあふのは庇護者たる神の全能性にたいする疑念をみちびく。なのでユダヤ人が不幸なときは神にそむいてゐたことにした。何度も不幸になるから何度もそむいたことになつた、てな感じか。
 でつちあげの部分にしては記述がヘンに具體的なのが氣にはなるけど。アシェラ像つてなんだ?