「がじぇっと(3)」(衛藤ヒロユキ)

 「衛星ウサギテレビ」を読んで、こちらはどうなってるのが気になった。しらべてみれば3巻が出て完結しているとのことで、あわてて買ってまいりました。内容をわすれちゃったので前二巻も読みかえした次第。まづ残念な点をさきにいうと、クライマックスのあたり、急ぎすぎたきらいがある。主人公も傍観するのみになっていたし、したがってタレちゃん(というと、どうしても「デビルマン」を思いだすが)とのロマンスも焦点がぼやけた。逆にいうと、そのへんがうまくいってればコレは衛藤さんのマスターピースになりうる作品だった。それくらいおもしろい。ラヴストーリーとしてはオーソドックスすぎるほどでありつつも、だれも真似できない世界。予測のできない展開。あふれるオリジナリティ。名前がバタイユというキャラがいて、「グルグル」のラカン、バルト、ガタリデリダといった命名がやはり現代思想家に由来するのだと確信できた。なんでなんでしょね。