「フーコーの振り子 科学を勝利に導いた世紀の大実験」(アミール・D・アクゼル)

 “脚注”と題されたものが巻末にまとめられているのが、まづ理解できぬ。あるいは冒頭を頭と見て、末尾を脚とする意もあるのかと辞書をひいてみたが無かった。原書では脚註であったのだろうか?
 フーコーやその実験より印象的だったのがナポレオン三世であった。普仏戦争あたりの言動から、ただのすっとこどっこいだと思っていたが、波瀾の人生と多彩な側面をもつ謎の男。ロクでもない男だったのはちがいあるまいが、興味がわいてきましたよ。
 くわしく書かれてはいないがフーコーの業績をみとめようとしなかった体制側の科学者のひとりにコーシーがいたようだ。ガロアの物語でもアーベルの物語でもコーシーは悪役として登場するが、よくよく悪役になるめぐりあわせのひとですな。
 科学の勝利というが、むしろ技術の勝利であったという感じがする。フーコーは科学者というよりも技術者というか発明家にちかい。