「量子と混沌」(編:P・C・W・デイヴィス、J・R・ブラウン)

 量子論のいわゆる観測問題という、哲学的というか形而上学的な側面について、幾人かの物理学者にインタビューしたもの。訳者もあとがきに書いているが、これがラジオ番組だったというのが驚きである。波動方程式などは出てこないにせよ、かなり難解でハイブラウだからである。「モンティパイソン」という番組の存在だけで、私はBBCをソンケイしているけれども、BBCラジオもたいしたもんである。
 インタビューではジョン・ベルがかなり大胆なことを言っていておもしろい。私は多世界解釈にけっこう関心があって、そっち方面の学者の発言にシンパシーを感じる。多世界解釈は相当にうさんくさいのは認めるが、コペンハーゲン解釈だって同じくらい胡乱であると思う。