「ボーン・アイデンティティー」(ダグ・リーマン)

 「フォーガットン」同様、記憶をめぐるサスペンスなど片鱗もなかった。主人公は自分が誰だかわからないままでも、観ているほうがわかっていてはダメなのですよ。ま、制作者のねらいもそこにはないようです。
 昨今のハリウッド映画にしては脚本もマシなほうだし、アクションもわるくはない。そこそこの出来といえましょう。体技のすぐれた役者がやればもっとアクションが映えると思うけれど、それよりもヒロインに美人をつかうべきじゃなかろうか。男と女の逃避行なのにすこしもエロティックな期待ができない。髪を切るシーンはちょっとよかったけど。