「おおきく振りかぶって(1)〜(2)」(ひぐちアサ)
シアワセだなあ。雑誌連載作品を掲載誌で読む場合、面白さがこう、じわじわと伝わってくるわけですが、コミックスでいきなり読むと面白さに突然ぶつかってしまう感じになります。このオドロキのヨロコビがシアワセなのですねえ。なんでカタカナで書いてるのかわからないけど。
すぐれた野球まんがを読むといつも、野球まんがに傑作は多いのになぜサッカーまんがはそうでないのか、と思ってしまう。たぶん、野球は投球ごとにプレイがきれて、それがまんがのリズムに合っているのではないか思います。が、それだけでなく、この国における野球の歴史の厚みにも由来するのですかね。
とまあ、楽しく読んだのですが、この作品の大きな缺陥はキャラクタの描きわけが絶望的にアレなことですね。これはもう、読者の側ががんばって髪型(とソバカスくらいしか手がかりがない)を憶えるほかはない。それくらいの努力には十分値するまんがだと思います。そもそも、大友克弘さんや江口寿史さんだって、さして描きわけられてるわけぢゃないし、まんがにおけるキャラクタの顔なんてさして重要でないのかもしれませんぞ。