「マニ教」(ミシェル・タルデュー)

 「サマー・アポカリプス」を読んでカタリ派に関心を持ち、同じクセジュの「異端カタリ派」を読んだところ、カタリ派マニ教に影響されたとあり、それではということで読んでみました。手軽な新書という形式でこうしたモノを読もうとするとクセジュだよりになってしまうのはどうなのか。日本の新書もがんばれ。
すくないヴォリュームで網羅せねばならないからか、事物の列挙にとどまり、読み物としてはさほど面白くはない。ま、そういうものだと思って読んだのですが。しかし、こちらがマニ教について無知なため、それなりに発見はありました。光と闇の対立などというところからマニ教ゾロアスター教から派生したものと思っていたら(18世紀の研究レヴェル)、どうもキリスト教(のいわゆる異端)から派生したものらしい。もっとも訳者はあとがきで、著者がゾロアスター教の影響を軽視しすぎていると書いており、なんだかよくわからなくなってしまったのですが。
 マニは詩人・書家・画家としてすぐれていたというのはともかく、さほど興味をひかれる人物ではないようです。それより弟子たちが築いた教義や神話が面白い。イエスや釈尊の場合、本人はともかく弟子たちのやったことはつまらないのと好対照といえましょうか。マニの絵はいまでも見られるのかな?