硝子のハンマー
 納得させられた推理が何度も覆る。電子書籍で讀んだこともある。紙の本ならば殘りページ數を体感しながら讀むからだ。とはいへみごとなもの。
 何度も覆るのは探偵の搜査が限定的にならざるを得ないためである。さういふ展開は讀者にフラストレーションを感じさせかねないが、とくにつよく感じなかつた。
 終盤、犯人の都合・犯行について延々やるのはホームズものの長篇みたい。いや、そこだけ倒叙になつてゐると見るべきか。そのへんはあまり好きでない。