ヒトラーの秘密図書館
本を讀まないと莫迦になるなどといふひとをときをり見かける。さうだらうか。ヒトラーは相當な讀書家だつたといふ話を聞いたことがある。ただし正式な師についたことはない、と。つまり我流の讀書の行き着くさきがアレなのではないか。
てなわけでこの本を讀んでみたのだが、反ユダヤ主義や優生學の話が多くてうんざりした。もつとも、さういふ話がイヤならばヒトラーがらみの本など讀まねばいいのだけれども。それにしてもヨーロッパの反ユダヤの根は深い。トマスやフィヒテやショーペンハウアーやカーライルも反ユダヤだつたらしいですよ。
ともあれ、われわれ凡人は書物から學びすぎてはならないといふ哲理がここにはある。しかしそれだつてこの本を讀んで學んでしまつたことである。本を讀んで學ばないでゐることは存外むつかしい。
それから秘密図書館てな何なんだ。Private Libraryでせう? ひどい邦題だなあ。あと、ベンヤミンの藏書についての文章は何で讀めるのだらう。

- 作者: ティモシーライバック,Timothy W. Ryback,赤根洋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/12/04
- メディア: 文庫
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