トマス・アクィナス『神学大全』

 たとへば三位一體についていろいろ理窟をこねてゐるが、聖書の成立をかんがへればそれぞれの文書の著者がすきなことをいつてるから齟齬が生じたわけで、無理に整合性をとらうとするのは不毛に感じる。出發點がどうであれ最終的にできあがつた思想がすぐれてをればいいのではあらうが、空しさをぬぐひされぬ。
 全體にながれるプロパガンダ臭にも反撥を感じた。

トマス・アクィナス 『神学大全』 (講談社選書メチエ)

トマス・アクィナス 『神学大全』 (講談社選書メチエ)