理由

 宮部みゆきは文庫本が二册しか出てないころ、よく讀んでゐた。それ以來だからじつにひさしぶりである。この作品をえらんだのは「ゲームの話をしよう」の對談で「街」をひきあひに出して語つてゐたから。
 事件そのものはショッキングながら全體には淡々として地味な作品であるがおもしろく、後半は一氣に讀みきつた。かういふ作品を讀んでふしぎに思ふのは、書くまへにできあがりがおもしろくなるといふ計算がどうしてたつのかといふことだ。私はよくさういふことを考へるんですな。アクションゲームで、つくるまへからかういふ操作をさせるとおもしろくなるとどうしてわかるんだらう、とかね。
 宮部みゆきの描く男の子の魅力もあひかはらず。また男の子が主人公の小説を讀んでみたい。

理由

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