海堂尊「チーム・バチスタの栄光(下)」
ミステリファンといふほどでなくても少なからぬ册數を讀んできた人間としてははなはだ迂闊なことに、私は田口が探偵役だと思つてゐた。一人稱の語り手なのだからそりやワトスンだよね。
下卷になつて探偵がでてきたがコレがなかなか。推理はかなり疎漏だと思ふのだが立ちふるまひがよろしい。かしこさうで。
探偵はかしこさうでなければならぬ。でも實際にはこの要件をみたすのがむつかしい。私は二階堂黎人がすきではあるが、蘭子は莫迦にしか見えない。京極堂だつて犀川先生だつてメルカトル鮎だつてかしこさうではない。
だからたいしたものであるが、ミステリの骨骼は凡庸ですね。文庫の解説でも人物についてはいろいろいつてるが内容はさしてふれてない。キャラクタ小説といふのはかういふのをさすのでせうか。でも、それにしては犯人像はきはめてつまらぬといはねばなりません。
チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)
- 作者: 海堂尊
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2007/11/10
- メディア: 文庫
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