阿満利麿「日本人はなぜ無宗教なのか」
たとへばニュース番組でこどもを事故なり事件なりでうしなつたひとが「こどもはきつと天國で神さまと一緒に云々」といつてるのを見たとして、まづは氣の毒だと思はねばならないのだらうが、正直に白状すれば「その神とは何者か?」と思つてしまふ。
だつて、どうせそのひとも葬式は佛式でやるのである。佛教にも「神」なる存在はゐるが、ここでいふ「神」がそれとは思はれぬ。「天國」にしたところで六道のひとつではあるまいし。
といふことで、日本人の宗教意識はわけがわからない。それについて、いちわうの解釋がここに提出される。まるごとうなづけるわけではないが、歴史的經緯については大いに啓蒙されました。
でも日常主義だけではどうも納得がゆかぬ。日常がつねに優越するといふよりは非原理的なのであり、それは檀家制度や廢佛毀釋にはじまるわけではない。たぶん佛教を受容したときからさうなので、それはなぜなんだらう。
ま、原理主義なんてな劍呑なしろものですから、無くたつていいけどね。
- 作者: 阿満利麿
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1996/10
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