「ハイデガー『存在と時間』の構築」(木田元)

 いま普通に刊行されている「存在と時間」はじつは上巻のみであり、まだ本論にも達していないのだそうである。けっきょくは未完成におわったこの本の、本論以前の部分が巨大な影響をあたえつづけていることはきわめて奇妙だが、未完部分をその後の著作などから推測するこころみである。
 おもしろかったが、著者もいうように日本ではこの存在の分裂がおきてないとすると、文明のいきづまりも発生してないのだろうか。日本でもやはりいきづまっているなら、そもそもハイデガーの着想そのものが見当ちがいってことになるような。