「セレンディピティ物語―幸せを招ぶ三人の王子」(エリザベス・ジャスミン・ホッジス)

 スリランカの三人の王子が父王の課した使命のためにペルシャやインドで冒険する。ウォルポールがこの物語からセレンディピティなる語を発明したわけですが、三王子がそんなに幸運にたよった感じはしないですな。ことばの生まれた経緯をかんがえると邦題はムチャクチャでしょう。順序がちがう。話題性を主にして物語そのものをないがしろにしている。ホッジスは1966年にこれを出版したのだが、元となった話がいつごろ、どこで成立したのかわからないし、ホッジス版とオリジナルの差異がどれくらいあるかも不明である。それくらいあとがきに書いておいてもらいたい。あと、訳者が描いた挿絵は、これはどうかと思う。