「テンプル騎士団」(レジーヌ・ペルヌー)

 エーコの「フーコーの振り子」でやたらとテンプル騎士団が言及されるので買ったものの、「ダヴィンチ・コード」の莫迦さ加減にうんざりしてしまい、興味もうすれて放置してあったもの。もっとも「フーコーの振り子」だって胡乱さにおいては劣らないシロモノでしたがね。
 実際の騎士団はさしておもしろい存在ではない。戦場での、戦術も戦略もあったものではない猪武者じみた行動と、なかなかうまくやっていたらしい経済活動のギャップがすこし興味ぶかいだけですね。彼らをおとしいれた陰謀にしても、胸糞悪くなるだけでおもしろくもなんともない。
 原文のせいなのか訳文のせいなのか、とにかく文章は読みにくかった。文章の流れがわるいというのか、たどたどしいというのか、助詞のつかいかたもおかしくて理解しづらい。愚かしい訳註のかずかずを見れば、訳文になんの落ち度もないとは考えづらいですな。