「沈黙の宗教―儒教」(加地伸行)

 ユダヤ教のつぎは儒教。ずいぶん前に買ったが読まなかったのは、同じ著者の「儒教とは何か」を読んでいたため。ではなんで買ったのかという話になるが、ま、読むのと買うのはまたちがいますからね。
 さて、冒頭いきなり『こういうゴミ人間は、(略)この本の読者となる必要はない』と言われてしまった。本を買った人間は客なのだから、こういう言い種はなかろう。ちなみにここでいう“ゴミ人間”とは、人間は死ねばゴミになると思っているひとのことです。
 前半はそれなりに面白いが、「儒教とは何か」以上の発見があるわけでもないようだ。でもって後半はほとんと読む気をなくした。著者の主張に同意するところもあれば、同意できないところもある。が、どっちにしても結論にいたる論理が粗漏すぎる。ちょうど「朝まで生テレビ」を見てイライラする感じ。つまりオイオイそれはないだろうとつっこみたいが、つっこめないもどかしさが横溢しているわけですな。
 儒教のプロパガンダのようなこの本の著者は、真言宗徒なのも謎。他教徒ならもっと客観的に記述すればいいものを、どうしてこんな宣伝めいた文章になるのか。もっとも、この本によれば日本仏教はほとんど儒教のようなものなのですがね。