「フォーン・ブース」(ジョエル・シュマッカー)

 監督名の表記はWOWOWの冊子にしたがう。けっこうこの監督の名前の表記もゆれますね。シューマカーとかね。
 さて、この映画がいいのは82分という長さであります。映画なんてこれくらいでいいのですよ。アイディアもサスペンスもなかなかだけれど、やはり脚本はよわい。最後の打開策なんて、以前やって通用しなかった手ではないですか。ここにひねりのある策があって、そのための伏線がきちんとはられていれば良作といえたでしょうに。
 だいたい主人公だって口八丁で生きてきたのだから、しゃべりでなんとかする展開もあったはず。なのに犯人のしょうもない議論は論破されず、しかも最後があれではフラストレーションは解消されないままではないですか。もしや脚本家をはじめとするアメリカ人の精神の底流にあるピューリタニズムは、あのちんけな欺瞞に関する議論に共感してしまっているのでしょうか? まさか妻に正直に話したから主人公は正しい道をすすみはじめたなどと思っているのか?
 いや面白かったんですけどね。書いてたら腹がたってきた。