「ミシェル 城館の人 第三部 精神の祝祭」(堀田善衞)

 “城館の人”なんていうのに、ドイツやイタリアに長旅をするかと思えば、ボルドーの市長にもなり、さらには宗教戦争の時代に国事に奔走したりとおおいそがしなのでした。カトリーヌ・ド・メディシスやアンリ四世からも相当に信頼されてもいれば、ペストのために流浪したりバスティーユに投獄されたりもしていたし。そうして思想が鍛えあげられていくプロセスを読んでいくと、岩波文庫で一巻だけ読んで抛りだした「エセー」を読んでみたくもなりますな。それに「伝道の書」もね。
 それにしても、アンリが多すぎる。どいつもこいつもアンリでまったくもって混乱するのであります。他に名前がないのか?