「歴史(下)」(ヘロドトス)

 いよいよ対決ということで脱線も減って、それがかえって寂しい感じであります。テルモピュライの戦いはまことに激戦だったものの、サラミス以降は物語としての起伏に乏しくぱっとしないし。亡国の危機に内輪もめをしているギリシア人もあほだなあ。
 全体には予言というか託宣の提示とその実現という、マクベス的展開のエピソードがつらなっている。面白いのだが、当時のひとびとがほんとにかくも託宣に依存していたのか疑問に思った。ヘロドトスの託宣信仰は当時としても古くさいのだと、解説文を読んで知りましたが。