「第三の銃弾 [完全版]」(カーター・ディクスン)

 トリック・真相はパッとしないが、そこまでの展開がいい。証拠があらわれるたびにワケがわからなくなってゆく。それにミステリはこれくらいの長さがちょうどいいですね。犯罪捜査だけで小説がなりたっていて、余分なものはなにもない。それなのに内容を削ってしまったクイーン、というかフレッド・ダネイは頭がおかしいんじゃあるまいか。
 森英俊さんの解説に引用された、この作品を発見したいきさつを記したダネイの文章はとてもよかったけれども。