ウィルソン氏の驚異の陳列室
 奇怪な本でとくに前半はノンフィクションを讀んでゐる氣がしなかつた。ボルヘスの短篇を想起させられたが、まさに著者も言及してゐた。あとスラデックの架空の星座についての本とか、「鼻行類」とか。要するに世の中には一定數、さいいふことをするひとがゐるのですね。

 

ウィルソン氏の驚異の陳列室

ウィルソン氏の驚異の陳列室

 

 

 

HERE ヒア
 煖爐といふものの、堅牢にして不變なることを痛感する。
 年表をつくつて、いつ何がおきたのかを明快にしたくなるが野暮といふものだらうか。

 

HERE ヒア

HERE ヒア

 

 

ブラインド・ウォッチメイカー ―自然淘汰は偶然か?―(下)

 

ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?〈下〉

ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?〈下〉

 

 

死の接吻
 たとへばガーシュウィン兄弟のジョージではないはう(兄だか弟だか知らぬが)がアイラであることは承知してをるのだが、なぜだかアイラ・レヴィンを女だと思ひこんでゐた。だものだから著者近影が目に入つたときたいへんおどろいた。この本を讀んで感じたもつとも強い印象がそれであることを告白せざるを得ないのは遺憾である。
 三人娘が三人とも愚かであるのがなんとも。それぞれ別種の愚かさなのだけれども。けつきよくドロシーがもつともマシであるやうな。
 第二部がいちばんおもしろいと思ふが、映畫では第二部をはぶいたやうですね。

 

死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)

死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)

 

 
トゥルー・ロマンス ディレクターズカット版
 トニー・スコットの映畫といふより脚本タランティーノの映畫ですな。

 

 

ジャコバン派の独裁 小説フランス革命(14)
 ここからはもう、うんざりするやうなことしか起きない氣がする。

 

 

ジェリーフィッシュは凍らない
 粗けづりといふのか、雜なところを感じつつも、序盤中盤はおもしろく讀んだ。が、謎ときパートがどうもだめ。「そして誰もいなくなった」的トリックはともかく、脱出トリックが「ああ、さうなの」としか思はれない。さうと知つてはじめから讀みなほせばまた感ずるところもあるのかもしれないけれど、そこまでする氣もない。
 全體に非常にこしらへもの感があるので、それに見合つただけの意外性がほしい。

 

ジェリーフィッシュは凍らない

ジェリーフィッシュは凍らない

 

 

 渇きの海
 私はクラークのよい讀者ではないのだが、これはおもしろいのではないかと思つてゐた。でも、期待したほどでもないかな。
 サスペンスや冒險小説の作家ならばもつとおもしろくできたのではないかと思つてしまふ。工學的ディテールをたのしめるひとはたのしめるのだらうが、私はさうではないので。

 

渇きの海

渇きの海