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アラビアン・ナイト(16)
むかしの小説に出てくる女性がよく氣絶するのは、コルセットでしめつけてゐるために血行がわるいからだなんて説をどこかで讀んだ。だが、アラビアン・ナイトでは男もしばしば氣絶する(そしてバラ水をかけられて蘇生する)。氣絶といふ語の定義がまるでちがふのではないかと思ふほど。
ハサンはろくでなしなのに、彼をたすける魔族(?)たちのなんと心優しいことか。
ほかふたつの話の出來も上々で、かなり水準のたかい卷となつた。
妖鳥
いやあ、おもしろい。いはゆる新本格ミステリのやうな突飛な道具立てはないのに、はるかに異樣で惡夢じみた事件が展開する。終盤にいたるまで事件がそもそもどんな事件なのかすら判然としない。動機はなんだそれはといふやうなものだけれど、謎の異樣さだけで滿足してしまつた。
あと、ツイスト利かせすぎ問題もあるといへばあるか。
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ゾディアック
事件はキテレツだが映畫としておもしろいかといふとどうだらう。
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密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿
このシリーズをかなり氣にいつたのだがつづきは書かれないのだらうか。
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白銀の墟 玄の月(三)
黒幕の考へは思ひもよらぬものだつた。が、納得。これは前代未聞のホワイダニットではあるまいか。
その思考がこのシリーズにむける私の關心のありやうと似通つてゐるのには苦笑するほかない。
ラディカル・ホスピタル(34)