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七帝柔道記
七帝戰のことを知つたのはグレイシー柔術の名が高まつたUFC第一回、第二回のころである。「格闘技通信」か、ニフティサーブのプロレスフォーラムで讀んだのだ。以來、「しちてい」と讀んでゐたのだが「ななてい」だつたと知つた。氣をぬくと今もなほ「しちてい」と讀んでしまふ。ついでに作者の名も「としや」だと思つてたら「としなり」だつた。
寢技の攻防が好きな私はオリンピックなどで柔道の試合を見てゐて「待て」がすぐに入るのがひどく不快である。なので七帝戰を好もしく思つてゐた。だが、あまりにもあまりな體育會系氣質にうんざりした。反撥を感じてゐた主人公はいつしか部に殉じることを誓ふわけだが、こんなのヤクザの組にたいする忠誠とかはらぬ。さう思へば部外での主人公の行動はチンピラのやうである。もつとも、そのやうに特殊な、ガラパゴス的環境であればこそ高專柔道がのこることができたともいへよう。
桜庭に完全にアームロック(腕がらみ?ダブルリストロック?キムラロック?)を極められたホイラーはなぜギヴアップせぬのかと思つたものだが、關節を極められたつて參つたしない世界が確實にあるのだなあ。