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黒龍荘の惨劇
トリックはおもしろいがヒントが足りぬ氣がする。フェアか否かといふことはどうでもよいのだが、私はトリックでおどろきたいのである。十分なヒントがばらまかれてあつてはじめて「ああ、さういふことだつたのか」とおどろくことができる。そこがどうもねえ。探偵が無能に見えるのはトリックの性質上やむをえないところもあるけれども、けつきよく警察も眞相に到達してゐたのでは存在する意味がないでせう。
音楽嗜好症 脳神経科医と音楽に憑かれた人々
たらたら讀んでゐたら、サックスが亡くなつてしまつた。むろん何の關係もないが、もつと氣をいれて讀破しておくべきであつたといふ、わけのわからぬ悔恨が生じた。
自分がまがりなりにも音樂をたのしめてゐることがなにやら奇蹟のやうに感じられる。それほど音樂を聽くためには腦のたくさんの機能を必要とするのですね。その一方で、知性の多くを失つたひとでも音樂だけはたのしめる例も多くある。ふしぎとしかいひやうがない。
音楽嗜好症: 脳神経科医と音楽に憑かれた人々 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: オリヴァー・サックス,大田直子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: 文庫
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