アメリカの鱒釣り

 「アメリカの鱒釣り」といふことばは語呂がよくない。書名だけならまだしも、本文にもたくさん出てくる語なので氣になるわけだ。おまけに章がかはるたびに鱒に「ます」とルビがつく。この小説は短い章をたくさんつらねた細切れ小説なのでルビも頻出する。「アメリカの鱒釣り」のはうはほかに適當な譯語もなささうだし我慢するしかないが、ルビは容認しがたい。
 頻出するといへば「クリーク」といふ語もざくざく出てくる。たくさんのクリークが出る小説なのだ。合衆國には多くのクリークがあるやうだ。それなのに日本語には該當することばがないらしいのはふしぎなことだ。小川ではだめなのか。だめだらうな。

アメリカの鱒釣り (新潮文庫)

アメリカの鱒釣り (新潮文庫)