凶鳥の如き忌むもの

 やはりタイトルがひつかかる。「忌むもの」でなく、「忌みもの」か「忌むべきもの」とでもすべきではないのか。「忌むもの」といふ語は「忌む」といふ行爲の對象を意味せず、むしろ「忌む」といふ行爲の主體をしめすのではなからうか。
 内容は思つたよりも本格風でたのしめた。伏線の回收や演出をもつと上手にやれば結末にも「おおッ」と思へたかもしれぬ。惜しい。

凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス)

凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス)