諸星大二郎「西遊妖猿伝 大唐篇(3)」

 ここから讀んだことのない部分にはひる。
 傳奇的手法がさえる。玄武門の變やら悟空と尉遅敬徳との對決やら。
 そこに原作に對する“傳奇”がくははる。「封神演義」でも活躍したナタ太子がサイコ野郎だつたり、六耳といへばニセ悟空だ。それに紅孩兒はたしか牛魔王のせがれで、悟空もたふされさうだつた強敵ではないか。三藏は悟空の頭をキリキリしめつけるかはりに頭痛をなほしてくれるし、つかまつた悟空が李世民の弼馬温にされるのにはニヤリとさせられた。

西遊妖猿伝 大唐篇(3) (KCデラックス モーニング)

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